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はじめての星空撮影

星空写真の撮り方|初めての1枚まで7ステップ

所要時間の目安:基本7手順の本文のみ約5分/現場では30分

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前:いつ・どこへ行く

すでに撮影地にいる方は、ここは飛ばしてステップ1へ進んでください。まだ計画段階なら、条件は次の3つだけ見れば足ります。

  • 月がない夜を選ぶ — 満月の夜は空が明るく、星はほとんど写りません。新月をはさんだ前後1週間が狙い目です。月が沈んだ後・昇る前の時間帯なら、新月期以外でも撮れます。
  • 晴れていること — 雲があれば何をしても星は写りません。天気予報だけでなく、雲量・湿度・光害をまとめて評価した星空指数で判断すると失敗が減ります。
  • 街明かりから離れる — 市街地では空がオレンジに染まり、暗い星が埋もれます。完璧な暗さでなくてよいので、街から離れた方角に開けた場所を選びます。

用語の詳しい解説は 月齢星空指数光害マップ をご覧ください。

出発前の確認には、星空カレンダー撮影地マップ月の詳細も役立ちます。

ステップ1:三脚にカメラを載せる

星空写真は20秒前後シャッターを開けっぱなしにします。手持ちでは絶対に止まりません。三脚は「あった方がいい」ではなく必須の道具です。

  • 脚は太い段から順に伸ばし、細い段は最後に使います。中央のエレベーター(センターポール)はできるだけ伸ばさないでください。ここを伸ばすほど揺れます。
  • 雲台のロックが緩んでいるとカメラがゆっくりお辞儀します。撮影前に一度、手で軽く押して動かないか確かめます。
  • 手ブレ補正(IS / VR / OSS / SR)をOFFにします。三脚に載せた状態では、補正機構が止まっている被写体を「揺れている」と誤検知して逆にブレることがあります。

三脚選びのポイントは三脚の安定性で解説しています。

写真準備中

ステップ2:MFにする

レンズ側面のスイッチ、またはカメラのメニューでフォーカスモードをMF(マニュアルフォーカス)に切り替えます。

星を画角に入れるより先に、必ずここでMFにしてください。AFのまま進めると、次の2つで確実につまずきます。

  • 暗すぎてカメラがピントを合わせられず、シャッターがそもそも切れない(AFが合焦するまでレリーズをロックする設定が既定の機種が多い)。
  • せっかく合わせたピントが、シャッターボタンを半押しした瞬間にAFで動かされて台無しになる

ボディ側にAF/MFの切り替えがある機種では、レンズ側とボディ側の両方を確認してください。片方だけMFにしても効かないことがあります。

写真準備中

ステップ3:明るい星を画角の真ん中に入れる

ピント合わせに使う星を1つ決めて、画角のできるだけ中央に入れます。レンズは中央がいちばんよく写るので、周辺の星で合わせるより正確です。

どの星を使うかは難しく考えなくて構いません。その夜、目で見ていちばん明るく見える星で大丈夫です。空に明るい惑星(木星・金星など)が出ていれば、それが最良の相手です。

季節の例:夏なら、こと座のベガ・はくちょう座のデネブ・わし座のアルタイル。冬ならおおいぬ座のシリウスやぎょしゃ座のカペラ。星座が分からなくても「とにかく明るい点」を選べば問題ありません。

拡大しても画面に星が見えないとき

ここが初めての人がいちばん詰まる場所です。星が写らないのではなく、背面モニターに映っていないだけのことがほとんどです。次の順に試してください。

  1. 露出シミュレーションを切る — 設定した露出をそのまま画面に反映する機能です。これが効いていると、まだ暗い設定のときに画面が真っ暗になります。「露出シミュレーション」「設定効果反映」などの名前でメニューにあります。
  2. 画面の明るさを上げる — モニター輝度を一時的に上げます。ピントを合わせ終えたら必ず元に戻してください。明るい画面は目の暗順応を壊しますし、周りに他の撮影者がいると強い光は迷惑になります。
  3. ISO感度を一時的に上げる — 25600など高めまで上げると、画面に映る星がぐっと増えます。これもピント合わせの間だけの措置です。撮影前に必ず戻します。
  4. それでも見えなければ代わりのものを使う — 遠くの街灯や鉄塔の赤いランプ、月が出ていれば月のふちでも合わせられます。数百メートル以上離れていれば、星と同じ「無限遠」として扱えます。
写真準備中

ステップ4:ピント拡大を押す

背面モニターに映った星を拡大表示します。虫眼鏡マークのボタン、またはボタンに割り当てられた「拡大」機能を押してください。ミラーレスならファインダーの中でも同じことができます。

  • 倍率は最大まで上げます(×5〜×10程度)。中途半端な倍率では、ピントが合っているかどうかの差が見えません。
  • 拡大位置は十字キーで動かせます。さきほど中央に入れた星に枠を合わせます。
  • ピーキング(合焦部分を色で縁取る機能)がある機種は、併用すると分かりやすくなります。

この操作の詳細はピント拡大とピーキングで解説しています。

写真準備中

ステップ5:ピントリングをゆっくり回して星が最小になる所で止める

ここがこのページでいちばん大事な工程です。ピントリングをゆっくり回し、拡大した星がいちばん小さく、いちばん明るい点になる位置で止めます。

星は「小さくなる」と同時に「明るくなる」のが目印です。ボケた星は、光が広がって同時に暗くなっています。いちばん小さくて、いちばん明るい点=合焦と覚えてください。

  1. 近すぎ
  2. 前景を入れるならこの辺
  3. ← 基本はここ(無限遠)
  4. 行き過ぎ:得るものが無い

ピントリングを回すと、星が最小で最も明るく見える位置があります。そこを通り過ぎると、星も前景も再びぼやけます。

∞マークに合わせるだけではダメな理由

レンズの距離目盛りにある「∞」に合わせれば済みそうに見えますが、これは信用できません。∞マークの位置と実際の無限遠がずれている個体があり、AFレンズの多くは温度変化を吸収するために∞マークを通り越してさらに回るように作られています。だからこそ、拡大して自分の目で確かめる手順が必要になります。

前景を入れたいとき、どちらに外すか

手前に木や岩を入れる構図では「星と前景のどちらに合わせるか」で迷います。判断は単純です。

  • ほんのわずかに手前へ外すのはアリです。星をわずかに犠牲にして前景の解像を買う、割に合う取引になります。
  • 無限遠より奥へ外すのは絶対にやめてください。星も前景も同時に悪化するだけで、引き換えに得られるものが何もありません。

迷ったときの合言葉は「迷ったらほんのわずかに手前。奥には絶対に外さない」です。

広角レンズなら、無限遠でも前景はけっこう写る

「星に合わせると手前がぼける」と身構える必要は、超広角では実はあまりありません。14mm F2.8で無限遠にピントを置いたとき、手前の被写体がどれくらいボケるかを画素数に換算すると次のようになります。

14mm F2.8・24MPフルサイズ換算でのボケの大きさ
前景までの距離ボケの直径画素数に換算すると
1m0.070mm約12画素
2m0.035mm約6画素
3m0.023mm約4画素
5m0.014mm約2.3画素
10m0.007mm約1.2画素
20m0.004mm1画素以下

5mより遠い前景なら、無限遠のままでも実用上まったく問題ありません。「星に合わせると手前がドロドロに溶ける」というのは超広角では誇張で、それを恐れて手前に外す癖がつくと、肝心の星の写りだけが悪くなります。

この話は広角ほどよく効きます。同じ5mの前景でも24mmでは約7画素、35mmでは約15画素とボケが急に大きくなります。35mmを超える画角で手前をしっかり写したい場合は、ピント位置を変える以外の技法(フォーカススタッキングなど)が必要になります。

関連する用語:無限遠フォーカス過焦点距離

写真準備中

ステップ6:ピントが決まったら構図を決める

ピントが決まったら、ここから先はピントリングに二度と触りません。構図決めは、カメラの向きと三脚の位置だけで行います。

ピントリングにテープを貼って固定してしまうのが確実です。暗い中で手探りすると、意図せず回してしまいます。マスキングテープなど、粘着が残らないものを使ってください。

  • ズームレンズはズームリングも動かさないでください。焦点距離を変えるとピント位置がずれる設計のレンズが多く、せっかく合わせたピントが崩れます。画角を変えたくなったら、ズームしてからピント合わせをやり直します。
  • 構図に前景(木・岩・建物)を入れると写真に奥行きが出ます。手前が5mより遠ければ、無限遠のままでも十分に写ります(ステップ5の表を参照)。

気温が下がるとピントは動きます。レンズの金属やガラスが収縮するためで、これは避けられません。1時間おきを目安に、拡大表示でピントを再確認してください。「最初に合わせたから大丈夫」と信じて撮り続けると、後半のカットが全滅していることがあります。

撮影前に星や前景の位置を確かめたいときは、ロケハンシミュレーター(要ログイン)で確認できます。

写真準備中

ステップ7:撮影開始

撮影モードをM(マニュアル)にして、次の3つを設定します。ISO感度を一時的に上げていた場合は、ここで必ず戻してください。

最初の1枚の設定(目安)
レンズシャッター速度絞りISO感度
14mm F2.8(フルサイズ)20秒F2.8(開放)3200〜6400
キットレンズ 18-55mm(APS-C)10秒F3.5(開放)6400

共通の考え方は「広角端・絞り開放・シャッターは星が流れない限界まで」です。絞りは迷わず開放(いちばん小さいF値)にしてください。星景では明るさが正義です。

シャッター速度の決め方(300ルール)

地球が自転しているため、シャッターを開けすぎると星が線に伸びます。流れずに点として写る限界の秒数は、300 ÷ 35mm換算の焦点距離でおおよそ求められます。

  • 14mm(フルサイズ)→ 300 ÷ 14 ≒ 21秒
  • 18mm(APS-C、35mm換算27mm)→ 300 ÷ 27 ≒ 11秒

この2つが同じ秒数にならないのは当然です。換算焦点距離が違えば限界も違います。カメラのシャッター速度は10秒・13秒・15秒・20秒…と飛び飛びなので、計算結果を超えない範囲でいちばん近い値を選びます。だから上の表は20秒と10秒になっています。

あなたのレンズで計算する

300ルールの限界値と、カメラで設定しやすい秒数を確認できます。

限界値21.4秒

実際に設定する値20秒

かつては分子に500を使う「500ルール」が一般的でしたが、画素数の多い今のカメラで等倍表示すると星の流れが見えてしまいます。本ページでは厳しめの300を採用しています。詳しくは500ルールをご覧ください。

撮ったら必ず確認する3点

  1. ヒストグラムを見る — 背面モニターの見た目は周囲の暗さに影響されて当てになりません。山が左端に張り付いていれば露出不足なので、ISOを上げるか構図を変えます。
  2. 拡大して星が点か確認する — 全体表示では流れていても分かりません。等倍まで拡大して、星が線になっていないか見てください。線になっていたらシャッター速度を短くします。
  3. ピントを見直す — 星がふくらんでいたらピントが甘い証拠です。ステップ4に戻ってやり直します。

関連する用語:ヒストグラムISOインバリアンス

写真準備中
後:撤収・帰宅後
  • 忘れ物を確認する — 暗い場所では小物が驚くほど見つかりません。レンズキャップ・リモートレリーズ・フィルター・レンズポーチが定番です。撤収前にライトで足元を一周させてください。
  • 結露したまま片付けない — 冷えたレンズを暖かい車内やカバンに入れると一気に曇ります。ケースに入れる前にレンズ面の水滴を拭き、帰宅後はバッグを開けて常温に戻してから収納します。対策は結露とレンズヒーターを参照してください。
  • ゴミを残さない・現状のまま帰る — 撮影地が使えなくなる原因のほとんどはマナー違反です。
  • 撮れた写真を見返す — 等倍で星の形とピントを確認しておくと、次回の設定改善につながります。

お気に入りの1枚が撮れたら、作品を投稿(要ログイン)して、みんなの作品を見るのも次の楽しみです。

夜の撮影地へ行く前に

星空写真は、暗く人のいない場所へ行く趣味です。撮影の技術より先に、次の3つだけは必ず守ってください。

  • できるだけ単独行動を避ける — 暗所での転倒・滑落は、一人だと発見が遅れて致命的になります。
  • 行き先と帰宅予定を誰かに伝えておく — 山間部は携帯の電波が届かない場所が多く、連絡が取れなくなります。
  • 防寒は「想定の1.5倍」で用意する — 夜間の放射冷却は想像以上です。動かずに数時間立ち続けるため、日中の感覚で判断すると危険な冷え方をします。
そのほかの注意点(獣・私有地・ライトのマナー)
  • 熊鈴・獣対策 — 生息地では鈴やラジオで存在を知らせます。食べ物を車外に置いたままにしないでください。
  • 私有地と駐車マナー — 農地・私道への無断立ち入りは厳禁です。路上駐車で通行の妨げになる場所も避けます。
  • 他の撮影者にライトを向けない — 白色光は他人の撮影を台無しにし、暗順応も奪います。赤色ライトを使い、足元だけを照らすのが基本です。詳しくはヘッドライトと赤色光星空観測のマナーとライトへ。
  • 車のヘッドライト・ハザードにも配慮 — 到着・出発時のライトは遠くまで届きます。撮影者がいる場所ではスモールランプに切り替えるなどの配慮を。
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